「西日が強すぎて、どうにかしたいんです」
そんなご相談を、Instagram経由でいただきました。
多くの人は、ここで「じゃあテラス屋根かな」と考えます。
でも、ちょっと待ってください。
結論から言います。
今回のケースで、テラス屋根はいったん保留です。
理由は、西日は低い角度から“横”に入ってくるので、屋根だけでは止まりにくいから。
そして常設の屋根は、夏の西日と一緒に、冬の日差しと眺望まで奪ってしまうからです。
正解は「ずっと日差しを遮ること」ではありません。
夏だけ遮って、冬は日射と眺望を取り戻すこと。
この視点で、外構のプロならどう考えるかを、4つのプランで比較していきます。
そもそも、テラス屋根で西日は防げるのか
まず、多くの人がつまずくポイントから。
「西日が暑い→屋根を付ければいい」——これは半分正解で、半分ハズレです。
西日は、夏の午後に低い角度から差し込みます。
だから頭上に屋根があっても、光は正面と側面から横向きに入ってくる。
「西日対策で屋根を付けたのに、横から日が入る」——これは外構あるあるです。
もちろん、雨よけ・洗濯物・常設の使いやすさなど、テラス屋根の良さはあります。
悪い商品という話ではありません。
くわしくはテラス屋根の後悔しない選び方でも解説していますが、今回の“条件”と相性が良くない、という話です。
今回の相談内容と、外せない5つの条件
まずは相談者さんの状況から。
・長野県安曇野市、築3年目のお家
・北アルプスの眺望を楽しみたくて、西側リビング+大きな掃き出し窓にした
・夏になると午後から強烈な西日で、室温が上がりすぎる
・今はシャッターで対策。でも閉めると、せっかくの景色が消える
・去年は市販シェードを付けたが、風ですぐ落ちた
シャッターを閉めれば暑さは防げます。
でも、それだと北アルプスの眺望が消えてしまう。
今回の本質は、「暑さ」と「眺望」の両立です。
ここから、日よけを選ぶうえで“外せない条件”が5つ見えてきます。
条件1:外壁に穴を開けたくない
壁付けのオーニングやシェード金具は、外壁に穴を開けます。
保証面も気になるし、今回は金具も付いていない。
なので、外壁固定ではなく「独立式」で考えるのが前提になります。
条件2:西日は低い角度から入る
先ほどの通り、西日は横から入る。
屋根だけでは効きにくく、正面・側面をどう切るかがカギになります。
条件3:安曇野市は積雪エリア
安曇野市は50cmは平気で積もるエリア。
標高の関係で、100cm級も意識した設計が安全です。
常設の屋根やフレームを付けるなら、耐雪仕様で構造が一気に大きくなります。
条件4:眺望は残したい
屋根材やフレーム、柱が景色を邪魔したら本末転倒。
北アルプスを見るために西側リビングにしたのだから、ここは譲れません。
条件5:冬の西日は“取り込みたい”
夏は敵の西日も、冬は立派な暖房効果になります。
常設で遮ると、冬の日射取得というメリットまで捨てることになる。
だから今回のゴールは「屋根を作ること」ではなく、夏の西日だけを切ることです。
ちなみに、西面に外部コンセントがない点も地味に効きます。
電動オーニングは電源確保が課題になり、手動かソーラー式が現実的になります。
外構のプロが考えた、日よけ4プランを費用で比較
同じ「日よけ」でも、選択肢はまるで違います。
まずは全体像から。
| プラン | 費用の目安 | 西日カット | 眺望・冬の日射 | 積雪 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1. フル外構 | 400万〜500万円超 | ◎ | △(作り込み次第) | 要設計 | 庭全体を楽しむ人向け |
| 2. 積雪対応テラス屋根 | 100万〜200万円前後 | △(横から入る) | ×(屋根で遮る) | ◎(耐雪仕様) | 今回は優先度低 |
| 3. 独立オーニング | 2台で120万〜140万円 | ○(角度調整可) | ○(畳める) | △(出さなければ可) | 楽さ重視向け |
| 4. 6本ポール+シェード【本命】 | 工事込み20万〜30万円台〜 | ◎(張り方で調整) | ◎(冬は外す) | ◎(雪を受けない) | 予算・実用性なら1位 |
プラン1:フル外構(400万〜500万円超)
タイルデッキ、眺望を邪魔しない袖壁、植栽、照明、パーゴラ。
庭全体をリゾート空間のように作り込むプランです。
正直、満足度は一番高い。BBQも、子どものプールも、夕涼みもできる。
今は砂利敷きで、あまり使えていないお庭。
ここを“使う空間”に変えるなら、非常に魅力的です。
ただし今回の悩みは「夏の西日」。
西日対策だけに500万円超をかけるかは、別問題です。
プラン2:積雪対応テラス屋根(100万〜200万円前後)
積雪100cm対応のテラス屋根+デッキ。
例えば三協アルミの「スカイリードZ」のような耐雪仕様の商品です。
必要に応じて前面・側面スクリーンも足せます。
一見、王道。雨よけになり、洗濯物にも使え、常設なので管理が楽。
でも今回の本命ではありません。
西日は横から入るので屋根だけでは止まりにくく、耐雪仕様にすると金額が跳ね上がる。
さらに屋根材が眺望を遮り、冬の日射取得も減ります。
「西日対策で屋根を付けたのに、横から日が入る」典型パターンです。
プラン3:独立オーニング(2台で120万〜140万円)
外壁に穴を開けずに設置でき、必要な時だけ出せる。
角度調整できる商品(例:テンパルの「エルパティオプラス」)なら、西日にも合わせやすい。
以前紹介した穴あけゼロ・電源ゼロの独立オーニングのように、ソーラー式を選べば、西面にコンセントがない問題も回避できる可能性があります。
最初は、これが最適解かと思いました。
でも現場写真を見ると課題が多い。
窓幅が広く1台では足りず、左右2台構成になりやすい。
独立フレームが眺望を邪魔し、中央の竿掛けやシャッターボックスとも干渉する。
外壁から40cmほど離す必要も出てきて、2台で120万〜140万円。
便利ですが、今回は優先度を下げました。
プラン4【本命】:6本ポール+シェード(工事込み20万〜30万円台〜)
今回の第一候補です。
家側に3本、フェンス側に3本、計6本のポールを立てる。
左右でシェードを分けて張り、夏だけ使います。
ポイントは、ロープの長さと張り方で角度を変えられること。
手前を高く、フェンス側を低くして、西日の角度に合わせて深く垂らす。
季節や時間帯に現場対応できるのが強みです。
このプランのメリットは、今回の条件にほぼ全部ハマること。
・外壁に穴を開けない
・常設屋根ではないので、積雪リスクを避けやすい
・冬はシェードを外せば、日射取得と眺望が戻る
・費用を抑えやすい
デメリットも正直に。
・シェードの脱着の手間はある(台風や不在時は外す)
・布は消耗品。5年ほどで張り替え前提
・高級感はフレーム商品に劣る
・柱位置の設計がかなり重要
とはいえ、外すときも0から張り直す必要はありません。
緩めて地面側に置いておくだけでも十分対応できます。
シェード自体は最安値でサンシェードを取り付けるアイデアで紹介したような市販品でも十分で、傷んだら交換、という考え方が現実的です。
ポールは抜き差し式にもできますが、保管場所と強度を考えると常設がおすすめ。
細い木目調や黒にすれば、思ったより目立ちません。
見た目まで重視するなら(フレーム系)
「せっかくなら見た目も」という人には、フレーム系という選択肢もあります。
例えばタカショーの「パティオムーヴ」。
屋根がルーバーのように開閉でき、採光も遮光も調整できる優れもの。
LIXILの「プラスG(Gフレーム)」系も、建物と色を合わせやすく高級感が出ます。
ただし費用は上がり、80万〜120万円前後になることも。
そして最大の注意点は積雪対応。
パティオムーヴは対応積雪の上限が低め(20cm程度の設定もある)なので、100cmエリアの安曇野では慎重に。
フレーム系は必ずカタログの耐雪値を現地条件で確認してください。
今回のおすすめ順位
・予算と実用性を重視するなら → 6本ポール+シェード
・見た目も重視するなら → フレーム系+シェード
・楽さを重視するなら → 独立オーニング
・庭全体を楽しむなら → フル外構リフォーム
・テラス屋根は、今回の条件では優先度低め
最終的には、床をタイル張りにしてシェードを張り、BBQや子どものプールもできるスペースにする。
これが、今回のお家に対する私の結論です。
失敗しない日よけ選び、5つの判断軸
いちばん伝えたいのはここです。
日よけは、商品名で決めない。
テラス屋根か、オーニングか、シェードか——から入ると、たいてい後悔します。
先に整理すべきは、この5つ。
・いつの日差しか(夏だけ?冬は?)
・どの角度から入るか
・どれくらい遮りたいか
・使わない季節はどうしたいか
・積雪や眺望など、地域と敷地の条件は
目的と条件を先に決めて、そこから手段を選ぶ。
順番を逆にすると、お金をかけたのに満足度が下がります。
業者で提案が割れるのは、当たり前
「日よけを付けたい」とだけ伝えると、提案はバラバラになります。
ある業者はテラス屋根、ある業者はオーニング、ある業者はシェード。
どれかが間違いというわけではありません。
得意分野と扱える商品で、見えている正解が違うだけです。
正解は、現場条件と優先順位で変わります。
だからこそ、条件の整理を一緒にやってくれる相手が重要になります。
庭ファンが運営する工事店紹介サービス「庭Link」では、見た目・予算・使い勝手・地域条件(積雪など)・将来のメンテナンスを整理しながら、どの方向性が合うかを一緒に考え、条件に合う工事店をご紹介します。
実際の流れや口コミは庭Link(庭ファンの工事店紹介)の評判にまとめています。
紹介した工事店の見積もりなら、庭ファン側でも相場やプランの妥当性をチェックできます。
まとめ:外構は、商品を選ぶ前に目的を整理する
今回の正解は「屋根を作ること」ではなく、「夏の西日だけを切ること」でした。
冬の日射取得と眺望を残し、積雪リスクを避け、外壁にも穴を開けない。
その条件をぜんぶ満たすのが、夏だけ張る6本ポール+シェードだった、という話です。
優先順位を間違えると、お金をかけたのに後悔します。
まず「何を解決したいのか」を整理する。
この俯瞰した目線が、外構ではいちばん大事です。
外構大好き、庭ファンでした。


