カーポートを置いたら、日当たりは悪くなる?
リビング横を駐車スペースにする予定です。カーポートを設置しようと思っていましたが、その場合リビングからカーポートまで2mほどしか離せず、光を遮ってしまうのではと心配です。日当たりを優先するなら、カーポートは置かない方がよいでしょうか?
「カーポートを置くとリビングが暗くなるのでは?」というのは、普段からよくいただく質問です。
先に答えを言うと、カーポートがリビングから2m離れていれば暗くなりません!
ただし、リビングからの距離が2m以下のときや、カーポートが大型の場合は要注意。
状況によっては、リビングの明るさに影響が出ることもあるんです。
そこで今回は、
- カーポートを設置したときの実際の日光の当たり具合
- 明るさを保つためにおすすめの屋根材
- カーポートの設置方法の「正解」
を解説します!
元・エクステリア営業マン。カーポートの設置も得意!
はじめまして、庭ファンと申します。元・外構エクステリア販売の商社マンでした。
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結論:日当たりはカーポートとリビングの距離による!
結論、カーポートをリビングから2m離せば、部屋は暗くなりません!
これを守れば、「昼間に電気をつけないと過ごせない」というレベルにはなりません。
他にもいくつかポイントはありますが、まずは距離の確保が大切だということを覚えてくださいね。
カーポートを設置したときの日光の当たり具合は?
そう思う方もいますよね。
そこで今回はパターン別に、日射取得をシミュレーションしました。
実際に、太陽の角度や窓の大きさ、日射角度などを計算したので参考になると思います。
私もこれからお客さんに聞かれたら、このデータを元に説明するつもりです。
今回のシミュレーションの前提条件
さっそくシミュレーション結果を…とその前に、今回の条件を先に記載します。
カーポートを設置した場合にどれくらい日光が入るかは、次の6点から計算できます。
- 住んでいるエリア
- カーポートの種類(ハイルーフや標準タイプなど)
- 窓が向いている方角(南向き、東向きなど)
- 窓の大きさ(高さ)
- 窓の位置(腰窓・掃き出し窓・高窓など)
- 床から窓までの高さ
今回は、以下のように設定しました。
- 住んでいるエリア:埼玉県さいたま市
- カーポートの種類:LIXIL カーポートSC(標準柱2.2m・完全遮光タイプ)
- 窓が向いている方角:真南
- 窓の大きさ(高さ):2200mm
- 窓の位置:床と同じ(掃き出し窓)
- 床から窓までの高さ:50cm
これに加えて、
- 時間帯は正午で固定
- シャッターボックスや軒などはなし
という設定にしています。
ちなみに、以降のシミュレーションでは四季を以下のように想定しました。
- 春:春分(3月21日)ごろ、日射 約45度
- 夏:夏至(6月21日)ごろ、日射 約78度
- 秋:秋分(9月23日)ごろ、日射 約45度
- 冬:冬至(12月21日)ごろ、日射 約31度
詳しい計算方法は今回は割愛しています。
標準柱2.2mのカーポートを外壁から2m離したとき
さて、それではシミュレーションの結果をお伝えします。
一番理想的な、標準柱2.2mの完全遮光カーポートを外壁から2m離して設置した場合です。
まず、春・秋のシミュレーション結果はこちら。
※春と秋は条件が同じなので、CGシミュレーション結果も1つにまとめています。
外壁や窓の部分での、光の入り具合に注目してください。
春と秋は、カーポートの影がまったく当たってきていませんね。
つまり、カーポートの影響は0%です。
置いてもお部屋が暗くなることはほとんどないと言えます。
続いて、夏の時期のシミュレーション結果です。
夏も春・秋と同じく、カーポートの影は室内に全然入ってきていません。
つまり、カーポートの影響は0%です。
窓からの日差しが、そのまま室内に降り注ぐイメージです。
夏は日が高い時期なので、陰で部屋が暗くなることはほぼないです。
そして最後に、冬の時期のシミュレーション結果です。
他の季節とは違って、カーポートの影が少しだけ当たっていますね。
それでも、せいぜい窓際が少し暗くなる程度。
計算してみたところ、降り注ぐ日光の60%ほどはリビングに入ってくるようでした。
つまり、冬でもそれほどお部屋が暗い気はしないはずです。
標準柱2.2mのカーポートを外壁から1m離したとき
続いて、少し条件を変えてシミュレーションしてみます。
カーポートは先ほどと同じですが、設置場所は壁から1mの距離です。
再び、春・秋の様子から見てみます。
先ほどは全然入ってきていなかったカーポートの影が…入ってきましたね。
日光がさす面積も少しだけ小さくなっているので、若干お部屋が暗くなります。
画像では分かりづらいのですが、計算するとこの場合に入る日光の割合は全体の50%ほど。
つまり、本来入ってくるはずの日光が半分しか入ってこない計算です。
続いて、夏の様子です。
夏の様子は、先ほどの2m離したときと変わりません。
窓に当たる日光がカーポートで遮られることなく、100%室内に入ってきます。
そして最後に、冬の状況を再現しました。
春と同じく、日光の部分がかなり小さくなってしまいました。
ちゃんと計算してみると、この状況で冬に入ってくる日光は全体のわずか30%ほどでした。
つまり、最も日光の暖かさが欲しい時期に、ほとんど日光が入らなくなってしまうんです。
完全遮光タイプのカーポートを設置する場合は、置き場所に注意が必要ですね。
ハイルーフ柱2.5mのカーポートを外壁から2m離したとき
さらにもう1つ、今度は背の高い「ハイルーフ柱」のカーポートを設置した場合を考えました。
この場合、屋根の先端までは2.9mほどになります。
外壁からは、最初と同じく2m離して設置する想定です。
春の様子は、こんな感じですね。
意外にも、標準柱の場合とほとんど変わりません。
カーポートの影も入ってこず、窓から入る日光がほぼ全て室内に入ってくる印象です。
続いて、夏の場合です。
夏は相変わらず、カーポートの影響が何もなさそうです。
では、気になる冬はというと…
標準柱のときと同じく、日光はしっかり入ってきそうですね。
カーポートの影は多少入ってはいますが、それでも明るさは確保できそうです。
ハイルーフ柱2.5mのカーポートを外壁から1m離したとき
最後に、ハイルーフ柱で、かつ外壁から1mしか離れていない場合のシミュレーション結果です。
これは今回の中で、一番悪い条件でのシミュレーションですね。
まず、春の様子。
やはり窓の足元の部分に、影が入ってきていますね。
そしてちょっと順番が変わりますが、冬の様子はこちら。
外壁に注目してください。
窓の8割ぐらいにカーポートの影がかかっているのが分かりますか?
計算してみたところ、入ってくる日光はわずかに18.2%でした…。
最初にシミュレーションした「標準柱2.2m・外壁から2m離す」場合を思い出してください。
このときリビングに入ってくる日光の割合は、60%ほどあったんです。
でもそれが、「ハイルーフ柱・外壁から1m離す」と変えただけで、18%ほどに。
つまり本来であれば得られたはずの日光が、わずか3分の1ほどしか得られない計算です。
冬だけではなく、春や秋でも暗くなります。
日光の恩恵は、ほぼ受けられないと思っていただいたほうが良いです。
あくまで完全遮光のアルミカーポートの場合です。
投光率約90%のポリカを使用すればここまでの暗い結果にはなりませんので、ご安心ください。
リビングが真南向きではない場合は?
今回は、リビングが真南向きのケースで試算しました。
でも、ぶっちゃけリビングの向きによって日光の入り具合はそれほど大きく変わりません。
リビングが南東・南西の場合、部屋の一番奥まで日光が入り込む時間が11時や13時にズレます。
が、日射角度はあまり差が出ないので、今回のシミュレーション結果は参考になるはずです。
ちなみに庭ファンの家は、リビングが南東向き。
午前中は、日差しがキツイです……><
ただ、西日はかなりマシですね。
カーポートは何をどう設置するのが正解か?
以上、完全遮光タイプのカーポートを設置した場合のシミュレーションを紹介しました。
こうやって見比べてみると、「絶対に失敗したくない…!」と思いませんでしたか?
そこでここからは、
- カーポートの設置場所で失敗しないコツ
- 採光を確保するためのおすすめのカーポート
- カーポートの影がリビングの大きな窓に影響しないための対策
について、お伝えします!
種類を問わず、カーポートを2m離せば大丈夫
この記事の最初にもお伝えしましたが、カーポートは「外壁から2m離れた場所」に設置してください! これが大鉄則です。
そうすれば、冬場でも明るく、1年中快適なリビングになります。
もし南向きのリビングの場合、窓の先は道路になっているはずです。
なので、お隣さんの家の影もそれほど気にならないと思います。
屋根材は迷わず「クリアマット」を選べ!
部屋を暗くしたくないなら、カーポートの屋根材選びが重要です。
もっと言うと、屋根材はクリアマット一択です。
メーカーさんによっては少し名前が異なるケースもありますね。
たとえば三協アルミさんでは、「かすみ色」という名前になっています。
なかには、「熱線吸収タイプ」「熱線遮断タイプ」のクリアマットもあります。
が、そうではないノーマルのものを選んでください。
ノーマルタイプのクリアマットは、透光率は約90%。
レースカーテンを1枚引いたようなレベルの明るさが確保できます。
実際に車を止めたときのイメージがこちらです。
車が良い感じに目隠しになるので、カーテンを開けた生活もできそうですね。
掃き出し窓を設置したり、短めのカーテンにしたりしても良いと思います。
このクリアマットの屋根材は、
- どうしても窓の近くにカーポートを設置しないといけない場合
- 雪が積もるエリアに住んでいる場合
という方も、ぜひ選んでいただきたいです。
積雪対応をしているポリカの屋根材は、ちょっと金額が高くなります。
でも少しでも冬場の日射取得を増やすためには、お金をかけてでも明るい色のものを選んでいただきたいです。
ちなみに、こういう黒いポリカの屋根材もあります。
スタイリッシュでカッコいいんですが、日射取得的にはイマイチなのでおすすめしません。
たとえば「窓が全くない位置にカーポートを置く」という場合は、ブラックポリカでも大丈夫。
ですが今回のように、リビングの近くに設置する場合はやめておいたほうが無難です。
庭ファンが自腹を切って屋根材ごとの透光率を比較した記事もあります!
こちらも参考にしてくださいね。
≫ブラックポリカってどうよ?デメリットはあるの?遮光・遮熱を実証してみました。
それから、こういう「アルミ屋根のカーポートってどう?」という質問をされることもあります。
先ほどのシミュレーションにも使ったタイプのカーポートですね。
アルミ屋根のカーポートは、「設置場所によってはアリ!」というのが庭ファンの考えです。
ご覧のとおりアルミ屋根のカーポートは、光を通しづらいです。
なのでお家の南側や窓がある場所の近くに設置すると、室内も暗くなってしまいます。
こちらのお家のように、窓が近くにない場合は採用しても大丈夫です。
南向きのお家や、窓の近くにどうしてもアルミ屋根のカーポートを置きたい場合は…
カーポートのかっこよさと、部屋が暗くなることをトレードオフしていただくしかありません。
暗くなるのを覚悟の上で、設置していただくことになります。
でも、それもちょっと考えていただきたいんです。
カーポートを見る時間と部屋で過ごす時間、長いのはどちらでしょうか?
当然、部屋で過ごす時間ですよね。
なので、できれば部屋が明るくなって快適に過ごせる屋根材を選んでいただきたいですね。
カッコいいカーポートを置きたい気持ちはすごくわかるんですけどね…><
カーポートは最低限の高さにするべし!
明るいリビングにするためのコツ、それはカーポートをなるべく低くすることです!
「部屋からカーポートが見えるのがイヤ」と、ハイルーフタイプのカーポートにしようとする方もいます。
ですがリビングから距離があれば、目の前にカーポートがあってもあまり気になりません。
先ほども試したとおり、カーポートの高さが低い方が日射取得にも有利です。
最近のカーポートって、どんどん標準柱の高さが高くなっています。
先ほどの例に出した高さ2.2mのものが、標準柱の高さなんです。
が、ミニバンタイプの車を止めるならこれで十分。
何より、むやみに高くすると雨も吹き込みやすくなるので、私はあまり選ばないですね。
どうしても背の高いカーポートを選びたい場合は、ポリカの屋根材を推奨します。
部屋が暗くなっても問題はない(法律的には…
ここからはちょっと余談です。
実はリビングに必要な明るさや、確保すべき窓の大きさは「建築基準法」で決められています。
もともとは「リビングの明るさ確保のために原則、床面積の7分の1以上の大きさの窓が必要」とされていました。
ところが、2023年の4月に法改正がありました。
これにより「ダウンライトなどの照明設備などがあり採光方法が確保されれば、床面積の10分の1以上の窓でも良い」となったんです。
なのでリビングが北側、カーポートの陰で部屋が暗いという場合も、他の設備があれば問題ありません。
ただし、これはあくまで明るさの話。
日光こそ、最高の暖房器具です。
日光の暖かさを求めるなら、やっぱりカーポートの位置や屋根材は配慮したいものです。
リビングが暗くならないフェンスの高さは?
ここまでカーポートのお話しましたが、次はフェンスです。
リビングの前にカーポートではなく目隠しフェンスを置きたい方もいると思います。
目隠しフェンスの場合もカーポートと同じで、リビングとの距離が重要です。
近づけ過ぎると、予想以上にお部屋が暗くなるかもしれません。
考え方は全くおなじで、高さよりも距離が重要です。
先ほどのカーポートのシミュレーションと同様に、リビングが真南を向いている前提です。
フェンスの高さに対して60%の距離を開ければ、真冬でも十分日差しが入ります。
たとえば2.0mの目隠しフェンスを設置するなら、外壁から1.2m離すといったことですね。
この場合、真冬だけは窓の下50cmほどにフェンスの影ができます。
ただ掃き出し窓であれば日光が80%以上入るので、それほど暗くならないと思います。
掃き出し窓に影を全く作りたくない場合は、外壁からの距離がもう少し必要です。
フェンスの高さに対して90%の距離を確保してください。
2mのフェンスなら、外壁から1.8m離さなければならなくなります。
あとは、上段だけポリカーボネートの採光タイプのフェンスにするなど対策は可能です。
明るさが入るポリカ目隠しフェンスは値段が高いです。
同じシリーズのフェンスであれば上下左右で違うデザインのフェンスを連結できますので、アルミ目隠しと採光フェンスと安い横格子をこんな感じで組み合わせが良いです。
私もよく提案してます。
まとめ:とにかく「外壁との距離」を重視!
カーポートとお部屋の日当たりについて、解説してきました。
もう一度、今回の記事の内容をおさらいします。
リビングをなるべく明るくしたいなら、
- カーポートは壁や窓から2m離す
- 屋根材は「クリアマット」一択!
- カーポートの高さは必要最低限に
の3つを、意識してくださいね。
どれか1つしか難しいなら、とにかく「壁や窓から2m離す」ことを最優先にしてください!
距離さえ確保できれば、快適な暮らしができること必至です!
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