身銭を切って忖度なしの強度実験をやってみた
後悔させないフェンスを提案したい! メーカー別にフェンスはどのくらい強度の違いがあるのか?カタログスペックではなく、メーカーごとの本当の実力を知りたい!
「どんなフェンスを選べばいいの?」…めちゃくちゃ多い質問です。
やっぱりフェンス選びで、強度のチェックは欠かせません。
お客様にも、ゼッタイ後悔してほしくないので、私がいつもおすすめしている目隠しフェンスを自腹で購入して、強度実験をやってみました!
LIXILさん、YKK APさん、そして三協アルミさんの大手3社のフェンスを以下の項目で評価をしました。
- 発売日
- サイズ
- 耐風圧強度
- 実売価格
- デザイン
- 重量
- 梱包状態
- 柱の断面
- 端部荷重実験
- 中央荷重実験
- たわみ実験
結果から言うと、3社の比較では三協アルミさんが最強でした。
この記事では、
以上の内容を解説します。外構のフェンス選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
外構一筋16年!フェンスを愛する庭ファンが実験しました
はじめまして、庭ファンと申します。元・外構エクステリア販売の商社マンでした。
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実験の対象にしたフェンスのスペックを比較
今回の実験では、私がいつもおすすめしているLIXILさん、YKK APさん、三協アルミさんの横ルーバーフェンスを使いました。
- 左:LIXIL フェンスAB YL3型
- 中央:YKKAP シンプレオフェンスYL1型
- 右:三協アルミ レジリアフェンスYL1型
どれも細長いパネルが水平に並ぶフェンスです。
どれもコストパフォーマンスを優先しているモデルなので、余計な装飾はありません。
風を通しにくいデザインは強度も必要で、製造原価の予算がとれない中、どのように強度を実現しているのか、試す価値は十分にあるデザインだと判断して選択しました。
どのフェンスも仕入れ価格と販売価格は、ほぼ同じです。
実験の大前提として、価格がほぼ同じフェンスを選んでいます。
庭ファンの場合、3社のどこから仕入れても仕入れ率は変わりません。
お客さまに販売する際の価格はメーカーさんのカタログ価格から40%OFFです。
高さ1mのフェンス1枚あたりで計算すると、お客さまに提示するのはこんな感じ。
- LIXIL・フェンスAB YL3型:15,720円/m
- YKK AP・シンプレオフェンスYL1型:15,090円/m
- 三協アルミ・レジリアフェンスYL1型:15,390円/m
3社の価格差は、600円ほど。まあ微差の範囲内といっていいかなと思います。
YKKAP社のフェンスのみ今年発売の新商品
商品の発売日を比べてみます。基本的に新しい商品のほうが良いです。
- LIXIL・フェンスAB YL3型:2020年3月2日
- YKK AP・シンプレオフェンスYL1型:2024年6月3日
- 三協アルミ・レジリアフェンスYL1型:2021年3月1日
モデルチェンジをするのは、何かしら改良すべきポイントがあったからですよね。
技術は日進月歩ですし、トレンドや気候も変わります。
モデルチェンジすることで時勢に合わせることもできますよね。
耐風圧試験値を比べると三協アルミの強度が高い
次は耐風圧試験値です。どの程度の風速まで耐えられるかを示します。
- LIXIL・フェンスAB YL3型:34m/s
- YKK AP・シンプレオフェンスYL1型:34m/s
- 三協アルミ・レジリアフェンスYL1型:36m/s
3社とも、相当な風に耐えられる強さは備えていますが三協アルミさんのフェンスが最も耐風圧性能が高いですね。
気象庁によると、1秒あたり30mを超すと「猛烈な風」と呼ばれます。看板が飛んだり、屋根がめくれたりすることもあるレベルです。
実際のところ基準値以上の実力が各社さんにあります。基準値ギリギリでは作りません。
※参考:気象庁「風の強さと吹き方」
デザインは…好み次第!
デザインは外枠の太さ、補強材である中桟(なかざん)の有無などによって見た目が変わります。
ただ、好みは人それぞれです。ここでは違いだけを紹介しますね。
道路から見える表側のデザインの違いをまとめると次のとおりです。
LIXIL:フェンスAB YL3型
外枠は太くて存在感があり、中央には縦に中桟が配置されています。
フレームは非常に四角く、角が立っていてスタイリッシュな印象です。
LIXILさんのフェンスの裏側(敷地側)はこんな感じです。
表にも、裏にも、桟が1本あるのがLIXILさんのフェンスの特徴です。
YKK AP:シンプレオフェンスYL1型
外枠がとても細く、中桟はありません。直線のデザインが際立っています。
フレーム部分の角がとがっていて、シンプルさが特徴のデザインです。
敷地から見える裏には中桟が2本入っています。
これにまだ柱が2本入るので裏は、ちょっとゴチャゴチャした印象に見えてしまう可能性がありますね。
三協アルミ:レジリアフェンスYL1型
外枠がとても細く、中桟がなく、直線的なデザインになっています。
上部にまるみがあり、雨を上にためないようにするデザインになっていて、汚れがつきにくい形状です。
三協アルミさんのフェンスは中桟1本。
ここまで気にする必要はないかも知れませんが、美しさを追求するには入念なチェックが必要です。
強度に必要な重量は、三協アルミがもっとも重かった。
次に、重量を計測しました。
なぜ、わざわざ重量を測るかというと、たくさんアルミを使っているとしっかりとした作りになり、重い方が強度上は有利。
実際に測ってみると、それぞれのフェンスの重さは次の通りです。
- LIXIL・フェンスAB YL3型:7.2kg
- YKK AP・シンプレオフェンスYL1型:8.4kg
- 三協アルミ・レジリアフェンスYL1型:9.2kg
三協アルミさんのフェンスがもっとも重さがありました。
ただし、もちろんアルミが多いぶん製造原価が上がるので、メーカーとしては不利に働きます。
あまり関係ありませんが、施工時は若干重感じますね。
傷・打痕リスクが最も少ないのは、三協アルミさん
続いて、お客様には全く関係のない部分になりますが、梱包状態です。
梱包状態が厳重であれば、運搬や設置するとき、角をぶつけてキズがつきにくくなるので、ダンボール保護は嬉しい気配りだと思います。
梱包は基本的にはビニールシュリンクされているのみですが、三協アルミさんは上下のフレーム部分がダンボールで保護されていました。
もちろんダンボールも製造原価を押し上げる要因の一つです。
安く仕上げるにはビニールになりますが、工事される人・運搬される方のことを配慮したメーカーの姿勢というのは、こういうところで感じます。
柱は、強度は十分。細さ・太さだけが勝負ではない
フェンス全体を支える柱はとても重要な部品です。むしろパネルより柱の強度の方が大切です。
柱のスペックは、
- LIXIL・フェンスAB YL3型:横24mm・奥行き36mm・重さ1.65g
- YKK AP・シンプレオフェンスYL1型:横42mm・奥行き36mm・重さ0.90g
- 三協アルミ・レジリアフェンスYL1型:横35mm・奥行き35mm・重さ1.35g
一番太いのはYKK APさんです。柱は断面が太い方が安心感があります。
一方で、柱がもっとも細いのはLIXILさん。細い方がスタイリッシュに見えますね。
ですが、LIXILさんの柱には唯一、中に鉄芯が入っていて、もっとも重いんです。
柱は太いから良い、細いほうが良いのではなく、一長一短があるので好み次第ですね。
見た目だけでは評価ができなかったので、後ほど実験をしています。
実験内容と結果を発表!
さあ、ここからが本題です!
庭ファンが行った強度実験の内容を紹介します。
結果は、すでに公表済みなので中身について解説します。
実施したのは次の4つです。
- フェンスを横にして端に重しをのせる端部荷重試験
- フェンスを横にして中央に重しをのせる中央荷重試験
- 柱を横にして庭ファンがのる柱荷重試験
- フェンスを持って揺らす
1. フェンスを横にして端に重しをのせる端部荷重試験
端部荷重試験は、横にしたフェンスの端に重しを乗せて、「しなり方」を計測します。
- フェンスを横にして重しをのせて固定
- 固定した方の端から100cmの位置の下部に木材を置き、支点とする
- 宙に浮いている方に重し(500ml入りペットボトル)をのせる
- ペットボトル24本(計13kg)をのせた時点のたわみをレーザーで計測
テキストで説明するとこんな感じですが、実験様子はこのような感じです。
以上の試験を行ったところ、たわみの程度は次のようになりました。
- LIXIL フェンスAB YL3型:-23mm
- YKKAP シンプレオフェンスYL1型:-19mm
- 三協アルミ レジリアフェンスYL1型:-14mm
三協アルミさんのフェンスが一番たわみが小さい!
もっとも強度がありました。
次いでYKK APさん、LIXILさんという結果です。
ちなみに重しには扱いやすく、庭ファンも大好きな「リアルゴールド」を使いました。
※ちなみに、1本542g。542g×24本=13,008kg 約13kgの荷重でした。
2. フェンスを横にして中央に重しをのせる中央荷重試験
一般的には、施工後はフェンスの両端に柱で固定します。
そのため、固定位置から遠くなる中央部分が風の影響を受けやすいです。
なので、中央部分がどのくらい強いかが、本質敵な強度実験だといえます。
中央に重りを乗せてたわみ具合を確認しますよ。
- 横にしたフェンスの両端から20cmの部分の下に、支点となる木材を置く
- フェンス両端から中央側80cmの位置に重しをのせる
- ペットボトル24本(計13kg)をのせた時点のたわみをレーザーで計測
実際の様子はこんな感じ。
めちゃくちゃ暑かったです…(2024年6月12日気温31度)
たわみを計測した結果は次のとおりです。
- LIXIL フェンスAB YL3型:-3mm
- YKKAP シンプレオフェンスYL1型:-2mm
- 三協アルミ レジリアフェンスYL1型:-2mm
これを見ると、各社の違いは微差の範囲でした。
本当は、この実験で差が出てくれるハズだったんですが、どのメーカーのフェンスもすごい強度があり、試行錯誤の末に最初の実験を行う事になりました。
3. 柱を横にして柱への荷重試験
フェンスのパネル部分ばかり実験していますが、最も強度が必要な分品は柱です。
柱を横にして端っこにカゴをぶら下げ、ペットボトルを増やす方法やってみたらどのフェンスも1mmも下がりませんでした。(スゴイ強度…。
考え抜いた結果、体重約80kgの庭ファンが立ってみて、最悪破損するかも…
それでも、どのフェンスも全く動じませんでした。もう計測不能です。
80kgの重さがかかっても問題ないとわかったので、試験をやって良かったです。
…良かったって後から言えますけど…
これ、ほんとに曲がったらどうしよう…
踏みつけるとか、メーカーさん申し訳ない…
と、思ってお詫びのマスキングテープ貼って乗りました。
4. フェンスを持って揺らす
最後にフェンスを持って揺らす試験です。
フェンスを揺らしてみると、設置後に強風を受ける様子がイメージしやすかったです。
結構、ガチャガチャとムキになって揺らしてます。
実験をしてみると、LIXILさんのフェンスはアルミのカタカタ音が結構、響きました。
奥さんも横で見てたのですが
「シャッターの音やん」
と、言葉を漏らしていました。
実際の音はYoutube動画で公開していますのでご覧ください。
22:00~ LIXIL→YKKAP→三協アルミ の順番で揺らしています。
一方、YKK APさんのフェンスは揺らしても歪みが少なく、音も小さめです。
三協アルミさんも静かでした。
これなら、強風の日にご近所さんからうるさいと言われる/思われるのも防げます。
…実際、これだけ差があるのが自腹実験で確定とれました!
安くて最強のフェンスは「三協アルミさんのフェンス」
各社のフェンスのスペックと実験結果をまとめると、今回の優秀賞は三協アルミさんです。
耐風圧強度や重量、梱包状態などに加え、端部荷重試験とフェンスを揺らす試験で最も良いデータをとれたのが三協アルミさんです。
今回、良いデータが取れました。
提供も受けていませんので、忖度なしでフラットな内容です。
異論があるなら、ぜひデータを持ってきて反論してください。
今回紹介した3つの商品は、お客さまへの見積もり価格はほぼ同じ。
フェンスの音でお客さまからクレームを受けることもあり、今回の実験でより自信をもって推奨できるようになりました。
もしフェンスの見積書がお手元にあるなら、
「三協アルミ社のフェンスに変更したときに差額が出ますか?」
外構業者さんにこのようにきいてみるのが良いと思います。
もしくは、
「仕入れ価格が同じなら、三協アルミ社に変更してもらえますか?」
と聞く手もあります。
今回は、あくまで同じ価格帯の商品で比べたときの結果です。
私の場合はどの会社からも仕入れ時の割引率は同じですが、外構業者さんによっては会社ごとに違うケースもあります。
目隠しフェンスを選ぶ際の基準として、実験結果を参考にしていただければうれしいです。
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